最近思う事、気付いた事

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仕事柄、高級バッグや財布などの色落ち、汚れがどうにかならないか?

とお問い合わせを頂く事があります。

 

まず、メーカー様にご相談されましたか?

とお伺いするとだいたい、「相談したけど、修理費が高すぎるから。」

とおっしゃられ、出来るだけ安く直したいと相談に来られます。

 

そこで、お客様本人が出来る可能な限りの修理の方法をご提案します。

それでも、道具や薬品が必要になってくるので、そんな面倒な事は

したくない、、、。とおっしゃられる方がいます。

 

商品を購入する時は、数十万円と支払うのに修理をする為の数千円は

もったいないと感じる時点で、そのアイテムを使用する価値観がずれている

のでは無いかと思ってしまいます。

 

昔、上司に教えられた事で、ヨーロッパでは未だに身分制度のなごりがあり

裕福でない層の人間は、高級ブランドを身につけるのにとても抵抗があり

身分に応じたファッションが根付いているそうだと。

 

自分はヨーロッパに行った事が無いので、事実は解りませんが…。

 

日本、アジア人がブランド志向だとよくメディアで持ち上げられますが、

ヨーロッパに比べ、まだまだ大切な物をメンテナンスするという意識が

低い様に感じます。

消費社会の中で育ってきたのだから、しょうがないのかもしれないですが、

そろそろ、意識を変えて生活をしたいですね。

 

昔、ジェーンバーキンが数百万するエルメスのバッグをペチャンコに踏みつぶして

「このバッグは新品で綺麗に持つよりも、すこし汚れたぐらいが良いわ。」

みたいな事を話しながらプレゼントしていたのを見て、その感覚が

とてもカッコいいと感じました。

 

それが、物の本質を見ているか見れていないかの差だと思います。

 

ルイヴィトンのモノグラムとヌメ革のバッグを持ってこられ、

ヌメ革の部分が日焼けしたり、汚れて嫌だと言うかたが多いですが、

僕はそれがヌメ革本来の素材の特徴であり、他には無い良さだと思います。

 

高級な物にはそれだけの、素材、技術、サービスが必要とされます。

ブランドに修理を出すと高いのは、ブランドがぼったくってる訳では

無いと思います。

修理専門のスタッフがいて、出来る限りお客様のご要望に応える為に

努力をするから高いのだと僕は思いたいです。

 

逆に高級な物でも自分でメンテナンスを行い、多少失敗したとしても

それが愛着となり、より自分の背丈にあった物へと変化して行くのかなと

思う様になりました。

 

20120710-101832.jpg

手前は50年以上前のブーツですが、定期的にソールを張り替え、

ちゃんとクリームとオイルをしっかりと塗り込めば、まだまだ

これから数十年と履いて行けると思います。

 

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